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チタン

このページでは、チタンを板金加工の素材として利用する際の特徴やメリット・デメリットについてまとめています。業者や方法を比較するための材料として、チタンを活用するポイントを把握しましょう。

チタンについて

チタンは、銀灰色の金属であり、工業分野でも広く利用されています。純チタンと合金チタンに分類されており、純チタンはJIS規格で4種類、合金チタンは添加物によって種類が分けられています。

チタンは、軽量かつ強度の高い金属であり、錆びにくく海水耐食性に優れていることが重要です。そのため、一般の家電や雑貨から航空機や船舶の部品まで幅広く利用されています。

チタンの特性・メリット

高い強度

チタンは、鉄の2倍、アルミニウムの3倍という高い強度を持っています。バネ特性があり、衝撃を受けてもしなることで衝撃を吸収し、割れたり折れたりすることを防いでいる点が特徴です。そのため、高強度が必要な製品の素材や、そのような環境で利用される製品に活用されます。

軽量

チタンは、強度が高いにもかかわらず、非常に軽量であることが特徴です。純チタンは鉄の5分の3、銅の半分程度の軽量さであり、その他の金属と比較してもかなり軽いです。そのため、チタンは重工業分野だけでなく、一般的な日用品や患者が普段使う医療道具などにも利用されます。

耐食性

チタンは、錆びにくく、耐食性が高いことがメリットです。特に海水に対する耐食性はプラチナに次ぐ高さを有しており、船舶や普段から海水に接する製品の部品・素材などに利用されています。

安全性が高い

チタンが安定した金属であることは、医療分野においても重要な利点です。チタンは、骨や歯などの人工的な部位に使用されています。

人体に異物を埋め込む場合、それが安全であることが非常に重要です。チタンは、人体内で化学反応を起こすことがなく、身体に有害な物質を放出することもありません。

また、チタンの表面は酸化皮膜に覆われており、この酸化皮膜が腐食や摩耗からチタンを守り、長期間にわたって安定した状態を保つことができます。

チタンのデメリット

高価格

チタンは希少な金属であり、さらに広い範囲で利用されるため需要が高く、鉄や銅などの金属と比較して費用が高額になりがちであるというのが欠点です。このため、チタンを板金加工の素材として使用する場合、全体的なコストが高くなるのを避けることはできません。チタンの使用には、コストパフォーマンスを考慮する必要があります。

加工が困難

高い強度と熱伝導性の低さを持つチタンは、板金加工において扱いづらいという欠点もあります。

高強度のチタンを切削する場合、職人がチタンの特性を理解し、チタンに合わせた加工機や専用器具を用いる必要があります。このため、チタン加工に対応している加工業者は限られていることが無視できません。

チタンの加工性能

チタンは、安定性が高く、安全性が高く、高強度で耐食性があるなど、優れた素材です。しかし、加工や変形を行うことが困難な点には注意が必要です。

チタンを加工する場合は、その特性を理解している加工業者を選ぶことが前提となります。また、加工機自体が破損するリスクもありますし、チタンの切削粉は燃焼しやすいため、安全に取り扱う必要があります。

チタンの加工が困難な理由

工具の摩耗が激しい

純チタンはまだしも、様々な金属が添加された特性強化された合金チタンは強度が高く、切削が難しいため、加工機で進めるためには相応のパワーや圧力が必要です。しかしそうすると、加工機に負担がかかり、チタンに接している部分が破損する可能性があり、また、加工機の内部機構の劣化も早まるため、リスクが増大します。そのため、加工業者の中には、チタンの加工に対して特別料金を設定している場合もあります。

引火しやすい

チタンの加工が困難な理由の1つとして、チタンを切削加工した際に発生した切削粉が引火しやすいということもあります。その場に火気がなくとも、空気中の酸素や窒素と反応して化学的に発火する可能性もあるため、チタンの板金加工には安全に注意しなければなりません。また、特に溶接加工や切削加工など、熱が生じやすい加工については、厳格な安全管理が必要です。

変形しやすい

板金加工の素材として使用される金属の中でも、チタンはヤング率が低く、柔らかい金属と考えられています。また、引っ張り強度が高く、しなりやすい特性も持っており、特に薄いチタンは切削加工によって力を加えると変形や振動が発生する可能性があります。

また、変形しなくても素材が振動することで加工機への損傷が増加することがあります。

チタンの加工方法

切断加工

チタンの板金加工において、切断加工は一般的な方法の1つです。金属板を必要な形状やサイズに切断することで、様々な分野や用途に利用できます。

しかし、チタンは硬く高強度であるため、直接的な切断によって加工機に負荷がかかってしまいます。そのため、非接触切断方法が選択されることが一般的です。レーザーカットやシャーリング加工、ワイヤーカットが代表的な非接触切断方法です。

曲げ加工

チタンは柔らかく変形しやすいため、曲げ加工に適していますが、弾性が高くスプリングバックが起こることにも注意が必要です。

したがって、チタンの曲げ加工では、加工方向や加工圧力、材料特性、サイズなどのパラメータを細かく調整する必要があります。正確な曲げ加工は高度な技術を必要とするため、加工業者を選ぶ際には、過去の実績を確認することが重要です。

溶接加工

チタンは熱伝導率が低く、熱を利用した加工には適していません。また、溶接部分は空気中の元素と反応し、脆化現象を引き起こしやすいため、シールドガスなどを使用して空気を遮断する必要があります。

さらに、チタンの切削粉は引火性が高いため、溶接加工を行う際には清潔な環境が必要です。また、他の金属との溶接では、金属間に不純物が生成されるため、直接的な溶接は困難です。

切削加工

板金加工において、チタンの切削加工には、ドリル加工やフライス盤、マシニングセンタなどの加工機が使用されます。

チタンの切削加工では、加工機や工具の寿命が短くなりやすいため、振動を防ぐ・変形を回避する工夫も大切です。

チタンの切削加工は加工業者の技術を必要としますので、どこでも対応できるものではありません。事前にしっかりと加工業者の特徴や実績をチェックして比較検討することが大切です。

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